日本美を花器に描く
料亭ゆう月のお花は
料理を手がける料理長の
通山が生けております。
私のお花に流派はありません。
ゆう月の庭には春に桜が爛漫に咲き誇り、夏には池の水面に涼しげに睡蓮の花が開き、秋には周りの山々と共に庭の樹々が色付く、そして多くの樹々が落葉した冬には垣根の山茶花・寒椿が庭に色を加えてくれます。
そんな四季の庭を10年見てきた頃、この美しく咲いている花を自分の手でお部屋に生けることができれば、自ら生けたお花がある部屋で自分の作る料理をお客様に召上がっていただければと思いお花を始めました。
池坊・草月流・小原流・嵯峨御流など様々な流派の書籍を読み、多くの先生のInstagramのギャラリーを拝見し独学の為の教科書とさせていただきました。そのため、見る人によれば私のお花は基本を踏まえていない駄作に見えることでしょう。それを承知で今も日々お客様をお迎えするお花を生け続けています。
それは私が会席料理店の料理人だからこそ、私の料理を食べていただくお客様に向けて、料理だけでなく庭の四季、玄関に入った時に香るお香、そしてお部屋に飾られたお花、これらをトータルで楽しんでいただくための空間創りこそ最も重要だと思っているからです。
誰よりも熟知した庭園のお花を活かし、そこにお花屋さんで見つけた季節の花、面白い花を合わせてお客様を唸らせるお花を作りたいものです。